スタッフブログ
2014年8月4日
無菌性結節性脂肪織炎
外傷による化膿性疾患との診断を受けて
他院で抗生物質と消炎剤を処方してもらっていたワンちゃん。
なかなか良化しないとのことで当院にやってきました。
腰腹部の皮膚がくずれて潰瘍になっていて
周囲にもしこり(硬結感)が触知されます。
細胞診では
多数の好中球(白血球のうちの一つ)とマクロファージが見られますが
細菌は見られません。
臨床(治療)経過と現状、細胞診の結果から
無菌性結節性脂肪織炎の疑いが強かったため
副腎皮質ホルモン剤による治療をスタートしました。
7日後にはここまで良化。
薬を漸減していき
さらに7日後には・・・・・
すっかりキレイになりました \(^o^)/
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無菌性結節性脂肪織炎は
病因が不明な免疫介在性の皮下脂肪織の疾患と考えられています。
診断の目安となるのが
病変部の細胞診で
「変性のない好中球」と「マクロファージ」の出現がみられるが「細菌」がみられない点。
こういった場合は無菌性結節性脂肪織炎を疑う必要があるでしょう。
細菌培養、生検などで確認すればさらにgoodです。
他の免疫介在性疾患を除外することも忘れてはなりません。
今回は副腎皮質ホルモン剤によく反応してくれましたが
場合によっては
シクロスポリンなど、他の免疫抑制剤を使うことも検討すべきでしょう。