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2014年11月8日
クロストリジウム性腸炎
犬や猫の下痢の原因菌のひとつに
クロストリジウム菌(Clostridium perfringens)があります。
この菌は
もともとは腸内の正常細菌叢を構成する菌のひとつですが
何らかの原因・刺激により
芽胞を形成するようになり(写真の矢印)、
その時に産生される毒素が
腸に炎症を引き起こし
下痢となるわけです。
グラム染色を施した糞便塗抹標本を鏡検し
芽胞形成菌(クロストリジウム菌)の増加を確認すれば
おおよその診断はつきますが
必ずしも
芽胞形成菌の増加=クロストリジウム性腸炎
とは限らないので
そのあたりは慎重に診ていく必要があります。
クロストリジウム性腸炎をきちんと診断するためには
糞便中のクロストリジウム菌の毒素
およびその遺伝子の検出が有効とされていますが
実際の臨床の場ではそこまで検査することはせず
症状の見極め、抗菌薬による治療の反応性などから
総合的に診断していくケースがほとんどです。
通常は1~2週間の投薬で良化するので
あまり神経質になる必要はありません。
気になる方は
定期的な検便で
芽胞形成菌の増加の有無を調べておくと良いでしょう。