院長のひとりごと

2016年7月21日

本当は怖い「鶏刺し」

皆さんは「鶏刺し(鶏の生肉)」を食べたことがありますか?

 

実はこの鶏刺し、運が悪ければ

命に関わるような食中毒を起こす恐れがあります。

 

今年開催された

「肉フェスお台場2016春」と「肉フェス2016FUKUOKA春」で

「ハーブチキンささみ寿司(ずし)」や

「鶏むね肉のたたき寿司(ずし)」を食べて

大勢の人が食中毒を発症した問題は

皆さん記憶に新しいところだと思いますが、

その原因として検出されたのが「カンピロバクター」という細菌です。

 

カンピロバクター食中毒の主な症状は、

下痢(水様便、まれに血便や粘液便)、腹痛、

発熱、頭痛、悪寒、倦怠感、筋肉痛など。

主に生の肉や、汚染された食べ物を摂取することによって発生します。

 

被害に遭った人たちは

加熱処理が不十分な鶏肉を食べて食中毒になってしまった、

という訳なんですね。

 

本来、生肉を食べる機会はそうそうないはずですし、

基本的に生肉に対しては

警戒心を持っている人がほとんどだと思います。

 

ところが、

何故か鶏肉に関しては

いまだに生肉でも大丈夫と思っている人がたくさんいるのには驚かされます。

鮮度さえ良ければ生で食べても大丈夫

そういう認識がまかり通っているわけなんですね。

 

鶏の生肉に関しては、

魚の刺身のように新鮮であれば大丈夫という常識は当てはまりません。

例えどんなに新鮮な鶏肉であっても

処理の仕方がきちんとしていなければアウトなんです。

 

カンピロバクター菌は、

牛、豚、羊などの家畜や、犬、猫、鶏の腸の中に普通に存在しています。

鶏を食肉処理するときに内蔵を抜くのですが、

その時に腸管を傷つけてしまうと身肉が汚染されてしまい、

そんな状態の鶏肉を刺身で食べようものならそれこそもうアウトです。

 

では、腸を傷つけないように処理すればイイのでは?

と思われるかもしれませんが、

大量生産の場ではそれがなかなかそう簡単にはいかないようです。

 

例えば、

鶏の生食についてしっかりした啓蒙を行っている宮崎県

(2007年に「生食用食鳥肉の衛生対策」というガイドラインや

その他様々な計画でカンピロバクターによる汚染を防ぐ努力をしています)

でさえも

ある調査で

カンピロバクターの汚染率は

食肉販売店で45%、飲食店で28%という結果が出てしまっています。

 

意識の高い宮崎県でさえこうなのですから、

そうでないところでは汚染率がゼロであるはずがありません。

 

もちろん、徹底した管理の下、

生食に適した鶏肉を生産しているところもあります。

例えば、兵庫県・丹波の高坂和鶏などがそう。

飼育環境を徹底することで

解体処理中に

腸が破れない(カンピロバクターを散らさない)丈夫な鶏を育成し、

厳重な管理の下で汚染されないような解体処理を行っているので、

こういう鶏肉ならば「鶏刺し」として食べることは可能でしょう。

 

でも、このような安全な「鶏刺し」を食べようと思ったら

それ相応のきちんとしたお店を探すしかありません。

 

やはり、無理して生で食べるよりは、

しっかり過熱して安全な状態で鶏肉を食べるべきだと思います。

ちゃんと加熱処理しさえすればカンピロバクター食中毒は防げるからです。

 

「鶏肉は新鮮ならば生で食べても大丈夫」という考えは危険ですから

しっかり改めて下さいね。

これは一時期まかり通ってしまった誤った認識なのです。

 

鶏刺しは簡単に口にすべきではありません。

どうぞご注意を!

 

 

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